日本シリーズ真っ只中。地下鉄に乗ったらヨシノブがお出迎え。
いやー、ライブが移動日でよかった、ホントによかった、と思った日から2週間。
もう、なのか、まだ、なのか、
相変わらずライブのあとさきは時間の感覚がバカになるわけですが、
お待たせしました、胸がいっぱいになりっぱなしサンキュー神戸の旅、記憶と記録。
会場の外。ボードウォークなんて久々に見たわ。
夜になるとこんなんなっちゃうわけで。
4月以来のライブ。お話をいただいた時点で本番まで1ヶ月を切っており、
日曜と祭日の間とは言え、平日の夜。単独公演としては初となる神戸という土地。
お客さんは来るのか、そしてそもそもちゃんと歌えるのか。
正直、準備しながら不安の方がはるかに大きい日々でした。
春に「アイムノーバディ」を終えてからの7ヶ月間、いろいろな意味で希望に満ちていたとは言い難く、
むしろ音楽と向き合うことを一旦あきらめていたので、
今回のお話がなければ、そのまま年を越していただろうなと思います。
だから、不意に舞い込んだ、神戸で、しかもワンマン、配信なしの一発勝負、
これは何かのタイミングなんだろうと思ったし、とてもうれしかった。
とは言え、不安でいっぱいでした、ステージに出る瞬間まで。
で、あとは見届けてくださったお客さんがよくご存知で。
良かったのか、悪かったのか、わからない。
ただ、やっぱり私はここで生きよう、と思いました。
平日の夜にも関わらず、近くから、関東から、九州からも会いに来てくれてありがとう。
新しい歌も間に合ってよかった。
終わって、神戸駅前のちいさな焼き鳥屋さんに飛び込んで、
今回の仕掛け人B.B.FactoryLabのスタッフとカンパイ。
久々の打ち上げ、旅先ビール。
このご時世、篠原美也子のワンマン開催に奔走してくださった人がいる、
ということが私にとってどれくらい勇気になったか、伝わったかな、伝えられたかな。
ありがとうございました。
着いた日の午後、ホテルの窓の外。
いま思えば私の気持ちみたいな空だな。
一夜明けて晴れ渡る。
そうか、空に見抜かれてたんだな。
神戸駅の「駅ピアノ」。
ちょっと弾いてみたかったけど、私のピアノはピアノだけだと小学生以下だしな(笑)
神戸と言えば有馬温泉。
調べたらおしゃれなスパとかたくさんあって、海が見える露天風呂とかいいなあと思ったけど、
あんまりピカピカなところはなんとなく行く気になれず、三ノ宮からバスにごとごと揺られてお山の方の古いちいさな日帰り温泉へ。
途中のバス停。「再度筋」と書いて、「ふたたびすじ」。なんて美しい。
再度山(ふたたびさん)ていう山もあるのね。
で、着いたらいきなりシビれた。下足箱これよ。
温泉、と言うより、でかい銭湯に近かったけど(笑)
浴場のドアを開けた途端圧倒される硫黄の香り、長年の変色が残るタイルや壁、お世辞にもおしゃれとかきれいとか言えない、でもとんでもなくやさしくてなつかしくて、なんにも考えなくていい場所。
旅人はたぶん私だけ。常連らしき近所のおばちゃんやおばあちゃんたちに混じって(回数券売ってたし)、前夜の疲れも雑念も湯けむりの彼方へ。
いちおう申し訳程度に「入浴中は黙って」と張り紙があったけど、
あちこちで知り合い同士が話したり、笑ったり。
どうやら阪神ファンのおばちゃんが、亀山が太っちゃったのが納得いかない話から日ハム新庄新監督の話まで語り倒し、
相手のおばあちゃんが「そやねー、ほんまやねー」と穏やかに相槌を打つのを聞きながら、どうしようもなく癒され。
名残惜しくて、時々源泉水で足だけ冷やしつつ、ぬるいの、熱いの、行ったり来たり。
ついに茹で上がり、帰りたくないわー明日も来たいわーと思いつつ上がって。
いろんなビールがあって、常陸野ネストビールのゆずラガー。
おれ優勝。
あまりの満たされぶりに不審に思ったか、
番台、ならぬ受付のおばちゃん、「いいお湯でしたか、、、?」
最高!実は東京からでこれから帰るんですけど、としばしご歓談。
これまた名残惜しくようやくさよならして下足箱にたどり着いたら、
ちょうどやってきたおばあちゃん。
「こんにちは」
「あ、こんにちは」
「ぬくまったか?」
「、、、はい!最高でした!」
「ん、じゃあな」
「はい、、、さようなら」
沁み渡るような一期一会を余すところなく。
またきっと。約束はいつも、なんて嘘に似ているんだろう。またきっと、と言わずにいられない気持ちに、かけらほども嘘はないのに。
帰りの新幹線、ひとり宴会。
おかわり。
こんな夕暮れに見送られながら、東京に戻りました。
最後に。
神戸に行くことが決まった時、前にどこかで読んだ気がして調べてみたら、あった。
神戸港、中突堤中央ターミナル「かもめりあ」に展示されている平尾誠二さんの大きなバナー。
平尾さんが53歳という若さで亡くなったのは2016年の10月。
あんまり悲しくて悔しくて、「ご冥福を」とか「安らかに」とか、全部違う気がして、
どうしようもない気持ちで平尾さんとラグビーを思いながら「遥かなる」という歌を書いた。
今回お膝元の地でその歌を歌うことができて、
5年間ずっと言えなかったさよならをようやく言えた気がする。
あの晩の「遥かなる」は、そこにいない、たったひとりのために歌いました。
集まってくれた皆さん、ごめんね。見守ってくれてありがとね。
でも、歌はいつだって、あなた、というたったひとりに向かって、
たったひとりの私が歌っているんだと思う。
あなたが誰でも構わない。そして私はどうしようもなく私でしかない。
たとえばそれを自由と呼ぶんだ。
私は大規模イベントとか縁がないから、関係ないのかもしれないけど、
私の客席で、誰かと誰かを分けるなんて考えられないな、と、今回あらためて思いました。
私が生きる場所は、そういうのおかしい、と思う人も遠慮なく来られる場所でありたい。
世の中にうまいこと合わせられるような人間だったら、ここまで歌ってこられなかったよ。
そうやって生きてきたし、そうやって生きて行く。
これにて再び、予定は未定となりました。
でも、ほのかな希望の種を胸に宿しつつ。
弾き語りワンマンワイブ
B.B.FactoryLab.presents
「ここがどこかになっていく」
2021.11.22(月)
神戸煉瓦倉庫 K-wave
01. 灰色の世代
02. 名前の無い週末
03. 尽きせぬ思い
04. ひといろ
05. M78
06. 遥かなる
07. 翼あるもの(未発表)
08. ひとり
09. Fool in the Rain
10. Time will tell
11. 満月
12. 月の河
E.C
01. 誰の様でもなく