翼を見たんだ


希望を伝えるプロでありたい、と、いつも思いながら、歌を書いて歌ってきたけれど、
それはやっぱり自分の中に希望がなければダメなんだなあ、と思いながらの2021年でした。
その分、今年は希望をもらったなあ、と思うことが多かった。
オリンピックやパラリンピック、プロ野球の壮絶な日本シリーズもそうだったし、
何より、春の「アイムノーバディ」、11月の神戸、それでもお客さんが集まってくれて、たくさんの気持ちを感じられたことが、
私にとってちいさくてもよく光る「希望」でした。
幾つもの背に、幾つもの翼を見ることができたから、私も私の翼を信じようと思えた。
ありがとうございました、ほんとうに。
今年は逆になっちゃったけど、来年はしゃきっと、希望を伝えるプロでありたい、と願いつつ。

「翼あるもの」

誰かが言った できるはずない
誰かが言った やめた方がいい
誰もが背を向ける場所に
あなたはいた あなたはいた

そこで生まれたように
死んでゆくように
当たり前のように
咲き誇るように
目には見えない だけど見たんだ
あなたの背に翼を見たんだ

誰かが言った 飛べるはずない
誰かが言った 傷つくだけだ
誰もが目をそらす場所に
あなたはいた あなたはいた

そこで恋するように
息をするように
傷を癒すように
約束のように
口に出せない 淋しさの中で
空に舞い上がるあなたを見たんだ

誰もが固く口を閉ざして
見て見ぬ振りで顔を隠して
傷つくことも傷つけることも
なんてたやすい

いつか夜明けの空を
夕暮れの海を
渡る風のように
高く舞い上がる
生まれたことも
死んでゆくことも
当たり前のように
たどり着くように
目には見えない だけど見たんだ
あなたの背に確かに見たんだ

あなたの背に翼を見たんだ