「ゲド戦記」で知られるル=グィンが、80歳を過ぎてから書き始めたブログ記事をまとめた一冊。
まだ読みかけなのだけど。
裏表紙も素敵。
すっかり慣れちゃってるし、素晴らしい発明なんだろうけど、
やっぱこうなるとバーコードってちょっと暴力。
読者からの手紙について書かれた章がある。
自分の作品に好意を持ち、反応を示してくれたのだから、返事を書かねばと思うものの、多くについて、返事が書きづらいのはなぜだろう、とル=グィンは考える。
そこに書かれているのはたとえば、
「この本の意味は何ですか?」
「この物語の意味は?」
デビューした頃とか、取材やインタビューでよくそういうこと聞かれたなあ、と思い出す。
「この歌を書いたきっかけは?」
「伝えたいメッセージは何ですか?」
歌詞は説明しちゃダメだと思ってたし、受け取った人それぞれでいいって思ってきたけど、どんなふうに答えてたんだろ。
誰もが「意味」を、「意味のあること」を求め、知りたがっていることに悩んだ作家は、こう書き放つ。
「でも、それは私の仕事じゃないの。あなたの仕事よ」
こないだのリクエストライブで、リクエスト曲に添えられたコメント。
長いのも短いのも、どれも「自分のこと」が綴られていた。
あの時の自分、その時の自分、一緒にいた誰かのこと、一緒にいなかった誰かのこと、見えたもの、見たかったもの、そしていまの自分。
そのかたわらに、たまたまあった、私の歌。
私がどんな「意味」でその歌を書いたかなんてどうでもいいのだ。
大切なのは、その歌があなたにとって「意味のある」ものだったということだけだ。
これからも私は自由に書くし、皆さんは自由に受け取ってください。
来年は30周年イヤー。お互いに、いい仕事、しましょう。怠け者の私、がんばる。
心からの感謝を込めて。