忙しくて図書館に行く暇がなく、またもや読む本を切らし、
本棚(というか本山だけど)を掻き回してふと手に取った鷺沢萠さんの「少年たちの終わらない夜」。
さあ止まらない、というわけで山狩りの末、持ってるだけの鷺沢作品を無事発掘。
その中の一冊。
篠原美也子のANNをやっていた頃、
篠原美也子文庫というコーナーのゲストに鷺沢さんが来てくださることになって、
大ファンだった私は、いろいろお話を聞きたくて、
当時いちばん好きだったこの短編集のあちこちに付箋を貼って、準備した。
94年の夏。
気さくで、木綿のようにざっくばらんで、でも絹糸のような文章を書くひと。
お会いしたのはこの時だけ。
10年後、鷺沢さんは35歳で、すっと消えるように亡くなった。
「スタイリッシュ・キッズ」のエンディングで、
リエが久志に突然別れを告げるように、
すっといなくなった。
鷺沢さん、
いま、生きていたら、どんな言葉を紡いでたんだろう。
ツイッターとか、フェイスブックとかやってたかな、
自炊とか、電子書籍とか、震災とか原発について、どんなふうに言葉にしたかな。
言葉や書籍がそんなふうになる時代を見たくなくて、
あんなにさっさと死んじゃったのかな。
いや、そんなことない。
きっと勇敢に面白がって、でなければ完全に無視して、
態度を貫いただろうと思う。
その、態度を貫くさまを、見たかったなあと、思う。
「愛してる」の扉には、こんな言葉が記されている。
思ったり感じたりした者の勝ちだ。
私もそう思う。そう思って生きて来た。
でも、とても淋しいのはなぜでしょう。
思ったり、感じたり、すればするほど、
とても淋しくなるのはなぜでしょう、鷺沢さん。