全8巻。
読み終わる前に死んじゃったらどうしようと思いながら、
ついつい読み始めてしまった。
「竜馬がゆく」とか「燃えよ剣」とか若い頃読んだけど、
久しぶりに読むと、司馬節と言うか、独特の語り口が新鮮。
ポイントは、改行と、ひらがなが多いこと。
歌詞も含めて自分でものを書く時、
出来る限り平易であること、というのがいつも基本にあって、
当て字とか嫌いだし、
やたらひらがなも、逆にやたら漢字も、わざとらしくて嫌いなんだけど、
司馬さんの文章は、抵抗なく、ひらがなきれいだなあって思えた。
ワールドカップ寝不足デイズの中、2巻目まで読み進めて、はたと気づいた。
改行とひらがなが、わざとらしさではなく自由に流れるこの感じは、
たぶん原稿が手書きだからだ。
呼吸のような改行と、ペンが走るに任せたひらがな。
変換しながらのタイピングでは出ない味だなと思う。
そうか、これが司馬節なのだなあと、勝手に納得。
だからなんなんだ、と我ながら思うのだけど(笑)、
やっぱり、スタイルのあるものが好きだなあ。
人、と、ひと、は違うし、
好き、と、すき、も違う。
上手に説明出来ないけれど、そのわずかな差で、
伝わるものの質や量が変わる。
それが、表現、というものだと思う。
ま、もしかしたら全部計算ずくかもしれないけど、
それはそれで、恐るべしプロの仕業。