勝たなくても校歌が聴けるようになったあたりから、
熱心に見なくなった高校野球だけど、
今年はちらちら眺めつつの夏だったなあ。
おにぎり握りまくりの女子マネも、
超スローボールのピッチャーも、
いいじゃないか。
生涯いちどかもしれない、その瞬間世界を手中に収めるんだ。
走りまくってベスト8まで進んだ健大高崎。
10点差でまだ盗塁するのはいかがなものかと、一部批判の声あり。
その話の中で「アンリトゥンルール」というものを知って、
へえ、と思った。
unwritten rules。暗黙の了解。
大リーグの用語で、
すでに勝敗が決した試合で、バントだの敬遠だの盗塁だの、
まだやるか的なプレイをしないという不文律を指すのだそうだ。
ルールという言葉が使われているが、
言わなくてもわかってるよね?という、マナーの話。
10点差で負けても泣くのが高校野球だし、
それこそ生涯いちどかもしれない晴れ舞台で、
得意なことやり尽くさないでどうする、と思うので、
甲子園には当てはめづらいだろ、と思うが、
思想としては素敵だ。
敗者に不必要な追い討ちをかけない。
やり返してこないとわかってる相手に石を投げない。
それを暗黙の了解とするならば、
このご時勢その欠如を嘆く対象は、たぶん高校野球じゃないだろう。
言葉にしなかった言葉が語る多くのこと。
言葉ではなく、
言葉の奥に透けて見えるもの。
とめどなく、とりとめなく、
怒りと感傷が入り混じる午前3時。
セプテンバーレインのせい、ということで。
さあ、9月だ。