サトルくん、みっけ、というわけで、
思いがけない人も登場する宇都宮徹壱さんの新しいご本「サッカーおくのほそ道」。
ゆうべ、宇都宮さん、千田善さん、中村慎太郎さんご来店でご本の門出を祝いつつ、
USTREAM居酒屋みやこは久々に初心に戻っての完全酔っ払い宴会中継(笑)
こないだ復活した機材がまたもトラブって、急遽スマホからの配信になってしまったので、
見づらい聞きづらいあったと思います。すみませぬ。
でもちょっと突っ込んだ話も出来て、個人的には楽しかったす。
「サッカーおくのほそ道」は、
日本のあちこちのJをはるかに仰ぎ見る地域や企業のチームを、
宇都宮さんが何年もかけて訪ね歩き、
風景を眺め、人と出会い、話を聞いた記録の書。
読ませていただいて、ああこれは足音が聞こえる本だな、と思った。
このご時世、まあいろいろ事情はあるのだろうけど、
お金はもちろん、足も脳みそも使わずに発信される情報が多いらしいので、
やっぱりこういう丁寧なルポルタージュは貴重だなと思う反面、
現場行って話聞いたり、きちんとインタビューするみたいなことが、
あんまり当たり前じゃなくなってきてるのかな、とちょっと淋しくもあり。
すこし前にサッカー界隈で話題になったエア・インタビュー騒動。
この件の発起人(笑)、作家の田崎健太さんとは宇都宮さんを通じて知り合い、
良き飲み友達として仲良くしていただいている。
エア騒動自体の正否はさておき、
田崎さん自身徹底的に足を使って取材をして物を書く人なので、
そのあたりがずるずるなし崩しになりつつあることが許せなかったんじゃないかなと思う。
根っこのメッセージはとてもシンプル。
要するに「ちゃんとやれよ」ということ。
こないだテレビでバレエダンサーの熊川哲也さんが、
たぶんバレエの公演のチケットがお高い、という話に対してだと思うのだが、
「敷居を下げてはいけないものがある」と毅然と言い放っていた。
オレたち素晴らしいもん作ってるんだから当然高いよ、
という当たり前さに驚く自分に驚きつつ、ちょっとたじたじしつつ、
でもぜひ突っ切っていただきたいと思った。
敷居はいちど下げてしまったら戻すのは容易なことではない。
音楽のストリーミングサービスはほんとうに素晴らしいけど、
いちどタダで手に入れてしまったら、財布の紐は当然固くなる。
このジレンマは果てしなく深い。
くるしい、しんどい、とぶちまけてしまえば楽になる。
こんな時代で、ご時世ですから、と言い訳はいくらでも出来る。
それをやるかやらないかは、矜持の問題。
担保はクオリティのみ。
芋づる式に思いは巡り。
「足音が聞こえる本」を読んで、
私も「心の音が聞こえる歌」を書かねばいかんな、と思った次第。
どんなにかたちが整っていても、それらしいことが書いてあっても、
何も聞こえてこないモノではなく。
矜持の問題。
発信者としてはもちろん、受信者としても。