満月

夜空を見上げて鼓動を数える
車の河が流れて時折橋が架かる
となりの彼女は時計を見ながら
思わず溜め息もらしあわてて唇を噛む

信号変わって背中が流れる
流れて行けない思いが残った

満ちてはまた欠けて行く月が静かに見下ろす

淋しくはないですか 繰り返して行くことは
明日にはまた欠けて行くのに黙ってる訳を教えて

手すりにもたれて呼吸を押さえる
レールの端から端へ行ったり来たりの日々

扉が開いて背中があふれる
あふれる思いに扉が閉まった

窓の向こうぼんやりと浮かぶ今夜は満月

ひるんだりしませんか 繰り返して行くことに
明日にはまた欠けて行くのに満たされたことも忘れて

満たされた月の淋しさに問いかける言葉は尽きることなく
はね返される問いかけがそのまま答えだと本当は知っている

はかなくはないですか 恐れたりしませんか
淋しくはないですか 繰り返して行くことは
淋しくて死にそうだと答える
だから走ると答える