M78

古いヒーローが戦いを終えて
空の彼方へ飛び去って行く
街に再び平和が戻って
誰もがあたたかい夕陽の中

食い入るように画面を見ていた
あなたは無邪気に目を輝かせ
空のどこかにきっとあるはずの
ヒーローの星を夢見ている

空を飛ぶ飛行機も 遠くまで行ける列車も
かつて誰かが描いた夢だった

届きそうもなくて 叶いそうもなくて
だから夢と呼んで 胸を焦がして
ひとつ叶うたび 消える夢はきっと
幸せを運ぶと信じていた

古い正義はやがて色あせて
遠い彼方のおとぎ話
街のどこかで火の手が上がっても
ヒーローは決して現れない

振り仰ぐこのビルも 手の平で揺れる電話も
全部誰かが叶えた夢だった

時は過ぎ去って 当たり前になって
だけど夢を追って 先を急いで
こんなはずじゃなくて たどり着けばきっと
幸せになれると信じていた

今はなんにも気付かないままで
あなたは無邪気に目を輝かせ
空のどこかにきっとあるはずの
ヒーローの星を夢見ている

届きそうもなくて 叶いそうもなくて
だから夢と呼んだ 忘れないで
見えない何かを 信じた胸にきっと
ヒーローの星は輝き続ける
ヒーローの星は輝き続ける