Tokyo 22:00

作詞/作曲 篠原美也子

赤い目をしたあの子は泣いているのかそれとも
慣れないヒールのせいでからだ揺らしながら歩くのか
青に変わった信号気付かぬほどにうつむいている
小さな背中に手を当てて訳を聞いてみたくなる

人を憐れむことで自分を救うことをいつか覚えてしまった
悲しみをそっと比べ合う時 慰めの言葉は心地好くて

雨が降り出す前触れ 空気が微かに重くなる
どうしてこんな街の真ん中で自分から目をそらせない
風はどこからどこへ行く そんなくだらない問いかけ
誰かにしてみたくていつの間にか私もからだが揺れ出す

話上手になるほど話せないことが胸の奥に増えて行く
本当は誰より背中を押して欲しくて だから余計に背中を伸ばす

街はいつでも光あふれ 声にならないざわめきが満ちて
人も車も 夢も挫折も みんなどこかへ流れて行く

夜に紛れる人たち 開いた傘で顔が見えない
12時過ぎればひとりずつ待ち疲れたシンデレラ
朝になったらいつものように笑顔を配りながら
誰かの望む自分でいることにすこしずつ疲れて行く

人をうらやむことで自分を許すことをいつか覚えてしまった
なりたいものを追うよりなれるものをいつの間にか探していたね

街は今夜も光あふれ ひと夜限りの夢の花が咲く
生きる手立てを選ぶ間もなく だけどこの街で生きて来た

海の青さに負けぬように 空の高さに届くように
闇の深さに怯えることなく 月は黙ってくり返して行く

街に光があふれるほど 人は色濃く長い影を曳く
今日も明日も 過去も未来も ずっとこの街で生きて行く

街はまばゆい光あふれ 声にならないざわめきが満ちる
恋に破れて 夢を失くして だけどこの街で生きて行く

声にならずに 伝え切れずに だけどこの街で生きて行く